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超も含む自然現象研究や映画鑑賞、彷徨報告にちょっとした工作記を

配信映像「高い城の男(The man in the high castle)」

AMAZON Primeでご覧になった方も多いと思います。原作はSF作家フィリップ・K・ディックブレードランナートータル・リコールなど多作)ですがすごいドラマです。

第2次世界大戦で枢軸国(日本帝国、ドイツナチス)が連合国に勝ったという設定になっていて、米国は西側を日本帝国が東側をナチス軍が占領して中央は緩衝地帯として不可侵の中立ゾーンになった世界です。

Man High Castle (TV Series) map-2.svg

当然、アメリカ人は敗戦国民として日独の下で奴隷のような状態に置かれレジスタンス運動を展開しています。この世界でもドイツの技術力は日本を凌駕していてナチスは西海岸の日本を追い出そうと画策しています。

そこにパラレルワールドを行き来できる人間がおり、日独が負けた世界(こちら側の世界)で撮影された16mmの映写フィルムを密かに持ち込んでレジスタンスを奮い立たせる有力な希望の光としています。

それをなぜかヒットラーと日本太平洋合衆国の貿易担当大臣の田上の知るところとなり争奪戦が起こります。

主人公のジュリアナは田上との並行世界での奇妙な縁によって、彼から庇護を受け、さまざまな事件を起こしながらも奮い立ちついにはレジスタンスを成功に導いていく。

あらっぽい説明ですが、何といっても日本がもし勝ったらどうなっていたかという設定は、フィリップ・K・ディックの原作が1963年ごろですから荒巻義雄の「紺碧の艦隊」よりは相当古い。作品はシリーズのドラマ仕立てになっていて出演する俳優も、少し誇張感はありますがなかなか見応えのある演技と考えられた世界設定で感心してしまう。

日本人では田上大臣と憲兵隊の木戸大尉はすごい。役の設定以上の存在感を示している。邦画でも彼らを招いて何か撮ったらきっといい作品が作れると思う。

主人公のジュリアナは不幸を背負った美人さんですが、ドラマの進行と共に微妙な儚さがうまくマッチして役者としても成長しています。

シーズンの最後は唐突感がある異次元移動トンネルなどが設定されたため惜しい終わり方をしてしまった。まあ、米国の連続ドラマの世界は視聴率がすべてなので、少しでも低下し始めると途中打ち切りになり無理やり終わらせてしまうのはよくあることなので仕方ないかな。

日本が勝っていたらどんな世界が出来ていたんだろう...